私が今まで食べてきた麺類の中で、最も中毒性が高いのが今回ご紹介する六五六(むつごろう)のちゃんぽん。
場所は大阪府堺市。JRと南海の三国ヶ丘駅から徒歩10分程の距離です。
私がこの店を初めて知ったのはかれこれ3年程前。とあるラーメン好きの知り合いから、堺に色んな意味で凄いちゃんぽん屋があると教えてもらったのがきっかけです。仕事の都合でたまたま近くまで行く機会があったので、その話を思い出して何気なく訪れてみたのですが……それ以来、私は定期的にここのちゃんぽんを食べないと禁断症状の出る身体になってしまいました……。
それほどまでに、中毒性の高いちゃんぽんなのです。
では、六五六のいったい何がすごいのか。順を追って説明したいと思います。
ここが凄いぞ六五六!その①
朽ち果てた店舗の看板(テント)、超絶アバウトな営業時間、半開きのシャッター
何を言っているのか分からないと思いますが、まず何よりも店構えが衝撃的でして。何も知らずに店の前を通ると、一見さんは絶対に飲食店だと分かりません。失礼な言い方になりますが、はっきり言って廃墟です。それほどまでにボロボロの外観なのです。かつては店名が書いてあったであろう看板(テント)が、その廃墟感を増幅させています。そして、営業時間は10:00頃から13:00頃までと18:00頃から19:30頃まで。営業中の看板なんてものは一切ないので、店のシャッターが半開きで店内に電気が付いていたら、おそらく営業中です。基本的に、夜は翌日の仕込みをしている間に店を開けているだけなので、夜営業は短めです。
※実は、最近看板(テント)や入り口の扉がリニューアルされ、とってもキレイな外観になりました。シャッターも半開きではなく全開にしてくれるようになったので、一見さんも入りやすくなりました。(昔のショッキングな外観の写真も探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。気になる方はネットで調べるとすぐに出てくるので、一度見てみてください)
ここが凄いぞ六五六!その②
注文なんてものは存在しない!完全自動オーダーシステムと独特すぎる支払い方法
初めて六五六へ行かれる方は、最低限このシステムを予習しておいてください。覚えてないと非常に焦ります。基本的に六五六のメニューは、ちゃんぽんと大盛りだけです。メニュー表なんてものはありません。そして、何も言わないと着席すると自動的に通常ちゃんぽんの調理が始まります。大盛りが食べたいなら、座った瞬間にオーダーしてください。他にもいくつかの裏メニュー的なものがありますが、それも同様に最初にオーダーが必要になります。そして、支払い方法にも要注意です。ちゃんぽんを美味しく食べてから、お会計……なんて訳ありません。座ったら、何も考えず目の前に千円札を置いて、それを灰皿で押さえてください。それで支払いは完了です。昔はちゃんぽんが900円だったので、おやっさんが無言で100円バックをしてくれましたが、最近1,000円になったので、基本的にお釣りはありません。千円札を出すだけで大丈夫です。安心しましょう。ただ、大盛りや裏メニューをオーダーするなら追加料金を支払ってくださいね。あとは、ちゃんぽんが出来るのを待つだけです。
ここが凄いぞ六五六!その③
超個性的なおやっさん
昔は割と頑固者で有名だったというおやっさん。基本的にはひとりで店を切り盛りされています。一見さんで挙動不審だと、注意されたりすることもあったそうです……が、安心してください。最近はとてもフレンドリーで、絡みやすいおやっさんになりました。手が空いていると、セルフサービスの水もおやっさんが入れてくれたりするほどです。ただ、最低限のマナーとして守っていただきたのは、大声で会話をしない。パシャパシャと写真を撮りまくらない。ちゃんぼんが出てきたら、食べることに集中する。それだけ注意していれば、おやっさんはとっても良い人です。
ここが凄いぞ六五六!その④
燃え上がる炎! 迫力満点の調理風景
店内はカウンター席のみです。お昼時は常連さんで順番待ちになることが多いので、店内の壁沿いにきちんと並んで待ちましょう。あと、食べたらすぐに席を立ちましょう。友達を待つのは外にしましょうね。で、並んでいてもひときわ目を引くのが燃え上がる火柱。そうです。おやっさんが振るう中華鍋からは炎が立ち昇ります。夏場はめっちゃ暑いです。店内のクーラーガンガンにかけてますが、全然効きません。汗だくになりながら食べることを想定した格好で来ることをオススメします。
ここが凄いぞ六五六!その⑤
唯一無二の存在……それが六五六のちゃんぽん
上に述べたように、最近でこそ訪れやすくなった六五六ですが、かつてはなかなかにハードルの高いお店でした。にも関わらず、長年常連さんから愛され続けてきたのには理由があります。それはもちろんここでしか味わうことのできない、ちゃんぽんです。たっぷりの野菜、魚介類、肉が超火力で調理された、アッツアツのちゃんぽん。目の前に着丼すると、スパイシーな香りが食欲中枢を刺激します。このスパイシーな香りこそが、六五六のちゃんぽんの最大の特徴にして、一度食べたら病みつきになる中毒性の理由。その正体は……大量のコショウです。「えー、なんだコショウかよ」と思われる方がいるかもしれませんが、六五六のちゃんぽんに入っているコショウの量は尋常ではないです。調理風景を眺めていると分かりますが、コショウが湯水のように投入される様はなかなかに圧巻です。正直、食べれるのか不安になる量ですが、これが不思議と全然食べれるんです。むしろ大量のコショウが最高の中毒性となって、食欲を刺激します。一度箸をつけたら最後。豚骨と魚介の旨味が凝縮されたスープ、ちゃんぽんにぴったりの柔らか麺、たっぷり野菜と肉をひたすら無心にかきこみます。ちなみに、ここのちゃんぽんを食べた方に話を訊くと、多くの方が食べている間の記憶が曖昧だと答えます。スープを口に含んだ瞬間、脳内に刺激が迸り、気がつけば器の中には一滴のスープさえ残っていないという体験をされた方は、私だけではありません。それほどまでに六五六のちゃんぽんの中毒性は強く、一度魅了されたものは、身体が定期的にここのちゃんぽんを欲するようになるのです。
こんな刺激的なちゃんぽんはココ以外には絶対にないので、皆さんも堺に行く機会があれば、ぜひ一度体験してみてください。六五六のちゃんぽんは唯一無二の存在です!
【店舗情報】
六五六(むつごろう)
大阪府堺市堺区向陵1丁2−18
定休日:日曜日・祝日(その他臨時休業あり)